全米朗読ツアー(その1)

このたび、私の初の英訳選詩集

Spectacle & Pigsty
Kiwao Nomura
translated by
Forrest Gander & Kyoko Yoshida
Omnidawn, 2011

が刊行され、それを記念するアメリカ朗読ツアーがガンダー氏ならびに出版サイドのプロデュースで行われました。全米4都市を一週間でまわるという強行スケジュールで、ガンダー氏いわく、「ロックンロールのツアーのような」、しかし私にとっては夢のような7日間でもあり、以下にそのあらましを報告してみます。なお、コーディネーターである共訳者の吉田恭子さんが通訳を兼ねて同行してくれました。ありがたいことです。
最初の訪問地は、東海岸ロードアイランド州の州都プロヴィデンスニューイングランド特有の、ため息が出るほど緑豊かな学園都市でもあります。共訳者の詩人フォレスト・ガンダー氏は、そこにあるブラウン大学創作コースの教授で、今回の朗読ツアーにあたってもその実現に尽力してくれました。会場となったのは、英文科の建物内にあるホールで、数十人の聴衆が集まってきています。ガンダー氏によるイントロダクションのあと、朗読パフォーマンスが始まりました。読んだのは以下の3篇です。「そして豚小屋」「デジャヴュ街道」「あるいは波」。
私はもちろん日本語で朗読し、その前か後に、ふたりの共訳者による英訳の朗読がありました。また、「デジャヴュ街道」はCD(音楽+声)とともに、最後の「あるいは波」は、私の妻野村真里子のダンスパフォーマンス付きでした。皮切りとなった「そして豚小屋」の冒頭数行とその英訳を掲げておきます。

私は豚小屋が
ひとはひと星は星にうんざりして
いま異様に飴のように伸びてくる闇その闇かも

私は豚小屋が
その闇のなかをぽつぽつと光の染みさながらに
回帰する豚よあわれ

it’ s pigsty I
the darkness maybe darkness stupendously stretching out now like taffy
man fed up with man star with star

it’ s pigsty I
pity the pig that eternally returns
to the darkness as spattering splotches of light