2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「詩と哲学のあいだ」プログラム(4)

先走りました。じっさいの作品を読みながら、そのあたりのことをたしかめてみましょう。 漂泊者の歌日は断崖の上に登り 憂ひは陸橋の下を低く歩めり。 無限に遠き空の彼方 続ける鉄路の柵の背後に 一つの寂しき影は漂ふ。ああ汝 漂泊者! 過去より来りて未来…

「詩と哲学のあいだ」プログラム(3)

こうして、ハイデガー、シャール、ツェランという三角形が出来上がります。それは、詩と哲学をめぐるもっとも劇的で興味深い、そしてまたもっとも謎を孕んだ三角形といえるでしょう。なにしろ、20世紀西欧最大とされる哲学者と、フランス現代詩の最高峰と、2…

「詩と哲学のあいだ」プログラム(2)

さてそのハイデガーと交友があったのが、20世紀後半のフランスを代表する詩人のひとり、ルネ・シャールです。このレジスタンスの闘士が、ナチズムとの関係が取り沙汰されるドイツの哲学者となぜ友人になったのでしょう。実は私は、シャールの詩が大好きで…

「詩と哲学のあいだ」プログラム(1)

もう2年前のことになりますが、私と吉田文憲さんとの共同主宰で、「詩と哲学のあいだ」研究会というのを発足させました。以来、2ヶ月に一度のペースで会をひらき、現在にいたっています。場所は拙宅。集まる面々は若手を中心にした詩人、研究者、編集者など…