2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧

宇宙と息とマトリックスと──賢治・中也・道造をめぐって(その6)

「のちのおもひに」後半の2連はこんな感じです。夢は そのさきには もうゆかない なにもかも 忘れ果てようと思ひ 忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには夢は 真冬の追憶のうちに凍るであらう そして それは戸をあけて 寂寥のかなたに 星くづにてらさ…

宇宙と息とマトリックスと──賢治・中也・道造をめぐって(その5)

そのぶん、私は知らず知らずのうちに、道造のほうに近づいていったのかもしれません。直接その詩を読んだりはしていないのに、いわばその詩の影のようなものはたえず身近に感じていた、みたいに。 道造の詩というのは、一般的イメージとしては、高原を舞台に…

宇宙と息とマトリックスと──賢治・中也・道造をめぐって(その4)

ところがです、以上のような理由で漠然と中也を卒論にと思いながら、そろそろ準備にとりかからなければならない時期になっても、どうも気がすすみません。なぜだろうと思ううちに、突然に気がつきました。現代詩を書くということは、ある意味で中也を離れよ…

宇宙と息とマトリックスと──賢治・中也・道造をめぐって(その3)

もちろん賢治はランボーなんて全然読まなかったでしょうし、仮に読んだとしても、詩人としての目標や社会との関わり方がかなりちがっていましたからね、あまり共感はもたなかったかもしれません。でも、なんといったらいいのか、ポエジーというもののあらわ…