2008-01-01から1年間の記事一覧

朔太郎づいています

今年も暮れようとしています。私ごとですが、今年は長篇評論『オルフェウス的主題』を出したり、20歳代の頃の作品群を新詩集『言葉たちは芝居をつづけよ、つまり移動を、移動を』としてまとめたり、はたまた小説「まぜまぜ」(「すばる」8月号、11月号…

不況には強い私です

百年に一度の経済危機とか。でも、それって資本主義の宿命でしょう、たかが。お金を失いたくないといういわれのない恐怖と、欲望は無限に行使できるというめちゃくちゃな前提が資本主義を成り立たせているわけで、つまりそんな恐怖や前提は、宇宙論にたとえ…

ベチャ漕ぎになる夢

いつだったか朝のゴミ出しの作業をわざとマスコミに撮らせたキツネ目の厚労相がいましたが、まあそれはご愛嬌としても、昨今エコを売り物にする芸能人が少なくなく、うんざりですね。 もちろん私だって環境問題には敏感です。とりわけ地球温暖化については、…

血の川のせせらぎ

このあいだ共演した舞踊家の伊藤キム氏のかつてのソロ作品に、小型ラジオで放送大学の講義を流しながら踊るという奇抜なものがあります。私が観たときはたまたま数学の講義で、難解な数式を読み上げている講師の声に、伊藤氏のダンスが絡むのです。おかしく…

ダンスダンスダンス

かねがね、詩は言葉のダンスであり、ダンスは身体の詩であると思ってきました。なので、ダンス公演(おもにコンテンポラリー・ダンスと呼ばれるジャンルで、さすがにクラシックバレエはあまり観ません)には足繁く通い、そのいくつかにインスパイアされて詩…

暴動ノススメ

メキシコに行ってきました。メキシコ自治大学主催のPOESIA EN VOS ALTAという詩祭に招かれての、たった五日間の慌ただしい旅でしたけど。 詩祭の名称を直訳すると「声に出す詩」、まさに詩を書物空間から解き放とうという趣旨らしく、さまざまな詩人や音楽家…

不幸養成ギブス(その2)

くそ、俺ら、売れないプロの詩人、てゆーか、詩人という名の不幸養成ギブスをはめられて。 このあいだ地下鉄に乗ったら、中吊りに、「地下鉄文学館」とかいう名の東京メトロの広告があってよ、へえー、文学か、なかなかやるじゃん、と感心するも、よくみると…

不幸養成ギブス(その1)

突然ですが、来月メキシコの詩祭に招かれて、はじめてラテンアメリカの地を訪れることになりました。メキシコについては詩人オクタビオ・パスの祖国という以外ほとんど何も知りません。そこで何かメキシコ関係の面白い本はないかと探しているうちに、そうだ…

詩があらゆる非詩的なものに化けて詩人を追いかけまわすホラー

とある年少の詩人と話していて、彼はどうも人妻に懸想したらしく、そういうまったく詩的でない(?)対象に打ち込むことがかえっていい精神衛生になっているというんですね。ま、白秋の轍は踏まないようにと(時代がちがうか)奮励努力を促しましたが、もう…

なんでもポエジー

「宇宙連詩」という企画の一環として、先日、谷川俊太郎さんと対談をしました。処女詩集が『二十億光年の孤独』で、火星語なるものを発明し、いやそもそもその人となりが宇宙人とか異星人とか呼ばれてきた人と宇宙の話をするというのも、なんだか不思議な感…

移動しながら書く

4月下旬から2週間ほど中国を旅しててしばらくブログを中断していましたが、また始めます。それにしても、帰国したらすぐに四川大地震のニュース。被害の甚大さに胸が痛みます。私が旅したのは、上海を起点に、蘇州、杭州、武漢、南京といったいわゆる江南地…

ポップな少数者のきびしい言語

自著に言及してもらうのは、何であれうれしいものですが、谷口慎次さんという若き学究がその論考「現代の詩の展望」(「日本現代詩研究者国際ネットワーク」所収)のなかでぼくの『現代詩作マニュアル』を引き合いに出してくれました。ありがとうございます…

こねこねぱにっく

こねこね、こねこね、こねこねこねっぱ、こねこね、こねこね、こねこねぱねっこ! 人の一生は幼少期で決まる、とよく言われますけど、ほぼその通りだろうと思います。私は埼玉県西部の農家の生まれで、ぼくという生のベースには土の記憶、土の匂いが詰め込ま…

エロ詩人たちのゲットー

これから詩について、いや詩の外のことも、つれづれなるままに書いていきますので、よろしく。詩論や詩学、批評や研究の類はもういやというほど書いて、これからも書いていくでしょうが、ここではもっとくだけて、うちとけて、ざっくばらんに、半ば日録風、…